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第12回コングレス(ブラジル・サルバドール)の開催について

アジ研は,国連の犯罪防止・刑事司法分野における重点施策をアジ研研修・セミナーのテーマに着実に取り込み,関連する国連条約・基準規則のアジア極東地域への普及拡大に努めてきました。

2010年4月に開催された第12回コングレスにおいては,約100か国から,司法大臣や検事総長を含む政府の代表及びNGO関係者,合計3,000人以上が参加して,「グローバルな課題に向けた包括的戦略:変化する世界の中の犯罪防止及び刑事司法制度並びにそれらの発展」をテーマに,各議題について活発な論議が行われましたが,そのほとんどすべての議題は,近年のアジ研研修・セミナーで取り上げたものでした。さらに,第12回コングレスにおいて開催された公式ワークショップのほとんどすべてのテーマについても,同様のことがいえます。

そして,アジ研は,第12回コングレスの公式ワークショップの一つとして,刑事施設における過剰収容対策をテーマとするワークショップを企画・開催・運営し,コングレスにおける議論の深化と進展に貢献しました。

また,第12回コングレスは,参加国の政治的決意を表明する「サルバドール宣言」を採択しました。(第12回コングレスの概要については,こちらPDFを御覧ください。/サルバドール宣言の概要と和文仮訳については,こちらPDFを御覧ください。)

このサルバドール宣言は,国連加盟各国が,犯罪防止及び刑事司法の分野において,今後実施すべき方策を多く含んでおり,国連のこの分野の政策立案・決定・実施機関であるコミッションに対する政策提言(“コミッションの諮問機関としてのコングレス”の役割を果たすもの)ともなっています。

その合計55項目にわたる宣言は,いずれもアジ研のこれまでの研修活動を支持し奨励するものにほかならないといえる内容となっていますが,とりわけ,

(1)以下の各項は,アジ研が今次コングレスにおいて企画運営した上記ワークショップの成果を色濃く反映したものと認められます。

  • 「51 我々は,社会奉仕,修復的司法及び電子監視を含む拘禁の代替手段を強化し,犯罪行動の矯正プログラム,受刑者に対する教育・職業訓練プログラムを始めとする改善更生及び社会復帰プログラムを支援する必要性を強調する。」
  • 「52 我々は,加盟国が未決拘禁を減らすことに努め,適切な場合には,司法及び弁護メカニズムへのアクセス増加を促進することを勧告する。」

(2)以下の各項は,アジ研のこれまでの,そしてこれからの諸活動を力強く後押しするものであり,アジ研としては,これら宣言を踏まえて,今後より一層,国連の犯罪防止・刑事司法政策に貢献してまいる所存です。

  • 「(前文) 我々,国連加盟国は,特に技術援助の提供を通じて各国の能力を強化することにより,犯罪を効果的に防止,訴追及び処罰するための国際的,地域的及び小地域的協力の必要性を強調し,次のとおり宣言する。」
  •  「3 我々は,犯罪防止及び刑事司法における国連基準・準則の価値と影響を確認し,それらを,我々の国内の犯罪防止及び刑事司法政策,法令,手続及びプログラムを策定し実施する基本理念として活用することに努める。」
  • 「4 我々は,犯罪防止及び刑事司法における国連基準・準則の普遍性に留意し,コミッションに対し,その再検討,必要であればその更新と補完とを招請する。それを効果的なものとするため,我々は,国連基準・準則の幅広い適用の促進とその国内適用に責任を有する関係機関の意識向上のために適切に努力することを勧告する。」
  • 「8 我々は,国際協力と技術援助が,犯罪の防止,訴追及び処罰において,特に刑事司法制度を構築,近代化及び強化し法の支配を促進することにより,持続的で長期にわたる成果をもたらすのに重要な役割を果たすことを考慮する。したがって,援助要請国が組織犯罪を含む社会に影響をもたらす様々な類型の犯罪を防止し抑止することが可能となるよう,統合的手法で長期的な視点を持って,刑事司法制度を構成するすべての要素について,具体的な技術援助プログラムがこれらの目的を達成するように策定されるべきである。この点において,国連薬物・犯罪事務所による長年の経験と専門知識は価値ある財産である。」
  • 「9 我々は,犯罪防止及び刑事司法とテロ防止のための効果的な政策,プログラム及び訓練実現のための十分な人的・財政的リソースの配分を強く勧告する。この点において,我々は,国連薬物・犯罪事務所に対し,その任務に相応のレベルのリソースを提供する深刻な必要性を強調する。犯罪防止能力強化のための技術援助の供与につき,我々は,加盟国及び国際的ドナー機関に対し,国連薬物・犯罪事務所(地域事務所及び国別事務所を含む。),国連の犯罪防止及び刑事司法プログラムネットワークに属する機関及び援助要請国を支援し,これらと協調することを求める。」
  • 「44 我々は,犯罪防止及び刑事司法に関する国連基準・準則の活用と適用に関し,矯正施設職員,法執行職員,検察官及び弁護士のみならず,裁判官をも含む,法の支配を担うことを任された人員の適切な訓練の促進を約束する。」

※第12回コングレス・ワークショップの概要はこちらPDF


第12回コングレス・ワークショップ(ブラジル・サルバドール)

コングレス・ワークショップのパネリスト

コングレス・ワークショップにおけるアジ研所長の開会あいさつ
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